本を読んでる自分が好き

私の好きな本の紹介

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子盗り 海月ルイ

読んでほしい度 ☆☆☆  読みやすさ ☆☆☆☆

題名どおり子供を盗む話です。

営利目的の誘拐ではなく、ただ子供が必要だから盗む。

今でも田舎の方ではそうなのでしょうか、『嫁して三年、子無きは去れ』 

嫁に来て三年たっても子ができぬ女は実家に帰れということです。

親類縁者の多い地域で農業を営む榊原家の長男の陽介ところへ嫁に来て13年。

陽介と美津子は子宝に恵まれぬまま。

そのうち本家に跡取りがないままではと、分家から養子の話までもが持ち上がる。

追い込まれた美津子は、「妊娠した」と嘘をつく。

月日が経つにつれ膨らむ美津子の腹がバスタオルであることに気づいた陽介に詰め寄られ、洋子は産院に子供を盗みに行く計画を考え夫婦で実行してしまうが。

主人公の気持ちに同情してしまうこともあるが、それでもほかに方法はあるでしょうに、浅はかな・・・と前半が終わり、ここから話が複雑に。

最後は、とても悲しい気持ちになります。

 

 

魔女は甦る 中山七里

 

魔女は甦る (幻冬舎文庫)

魔女は甦る (幻冬舎文庫)

 

 読んでほしい度 ☆☆  読みやすさ ☆☆

エグい殺害方法が大好きな中山さんですが、今回の殺害方法はバラバラ加減が半端ない。頭・胴体・足などという部位すら不明なくらいの肉片となった遺体が発見されます。

人間の力である程度まで切り刻んだのち、カラスにつつかれ食い荒らされた状態。

殺されたのは、温厚で物静かな青年、桐山隆

桐山は近くにある製薬会社に勤めていた研究員であった。

しかし、その製薬会社の工場は2か月前に建物を厳重に閉鎖した状態で撤退しており、外国にある本社には悪いうわさが。

この物語のキーになるのは「ヒート」

「ヒート」は恐怖心と理性を減退させ、攻撃本能を増進されるドラッグ

身体依存性がほとんどないため薬が切れても体が再びヒートを欲することも禁断症状がでることもない、ドラッグとしては破格の安価なこの薬。

いったい誰がどんな目的のために作り販売していたのか?を考えながら読み進めてください。

感染  仙川環

読んでほしい度 ☆☆  読みやすさ☆☆☆

 

ウイルス研究者である葉月、外科医の夫と前妻の子である宏が誘拐され殺される事件が起こる。

事件を知らせようとするが、夫は前夜から行方知れずのまま。

夫を探すうち、宏が移植手術を受けていたことが分かる。

同時期に移植をした子供が火事で焼死していたことも判明。

夫を信じたい思いと、夫が事件に関係しているのではとの不安の中、真実が明らかになっていくのだが。

全体になんだか浅い感じ。文字数が少ないので、ざっと最後までは読めたけれど。

この作品は第1回小学館文庫小説賞受賞作。

期待して読まなかったら、こんなもんだったのかなという感想です。

ただ、この本の中に出てくる臓器移植の問題は、近い将来には現実にもなってくるのだろうなという部分は興味深かった。

 

 

とんび 重松清

 

読んでほしい度 ☆☆☆☆☆  読みやすさ ☆☆☆☆

嫌なことがあったり、何かで気持ちがささくれているような時に重松清さんの作品を読むと心が落ち着きます。

 

とんびは、「トンビが鷹を生む」とい言葉が由来の題名

不器用な男ヤスさんが、最愛の妻を亡くし、男手一つで息子アキラを育てていく物語。

二作品でドラマ化されているけれど、私の原作を読んでのヤスさんは内野聖陽よりも堤真一のほうが合っている気がする。

男手一つとは言え、子のいない友人夫婦、その父である住職など、たくさんの手に囲まれて愛情深く育てられていくアキラ

悲しい中にもたくさんの喜びがあふれるお話で、子を持つ親であれば何度も涙ぐんでしまうであろう。

アキラが成長し家を出ていく場面、ちょっと訳ありな嫁さんを迎える場面などはハンカチ必須である。

絶対に結婚しないと言っていた友人に「読んでみな」と勧めたら、「ヤスさんのような父親になりたい」と見合いに行きました。

そのぐらい感動する作品です。

重松さんの中でも一番好き。

 

 

嗤う淑女  中山七里

 

読んでほしい度 ☆☆  読みやすさ ☆☆☆

 

いじめられていた恭子のいるクラスに転校してきたのは、とんでもない美少女のいとこ美智留。奔放で周りと同調する気のない美智留が今度はターゲットになります。

ところが美智留はその美しさの虜になっている男子を使っていじめの首謀者たちを退治してしまう。

恭子は美智留の恐ろしさを知ると共に、その人間性に魅了されていく。

美しいだけのただの女の子がこんなに強いわけもなく、やっぱり思ったととおりの闇を抱えています。

ちょっと「白夜行」が頭をよぎる場面もあります。

二人で共謀して美智留の父親を殺したあとは、どこで身に着けたのかすばらしい話術と巧妙な作戦で詐欺まがいの仕事でお金を集めたり、関わる人間を次々に殺害していったり。

長編なんだけど短編集のように事件ごとに話はまとめてあります。

整形のところなど、そこはありえないでしょってことも多々ありますが、最後まですーっと読める作品ではあります。

切り裂きジャックの告白   中山七里

 

読んでほしい度 ☆☆☆☆   読みやすさ ☆☆

 

中山七里さんと言えば「カエル男」という読者さんが多いですが、私の中ではこの作品が一番好きです。

 

犬養隼人シリーズでの、殺された遺体の描写は大変グロテスクです。でもあまりにも現実離れしているため、想像してみても画像としては頭に浮かんでこないんですが。

内臓をごっそり抜き取られて殺害された遺体の連続殺人事件、犯人は臓器移植に反対派の人間なのだろうか?

脳死は人の死であるかの是非、医者とは医学とはこういう在り方で正しいのだろうか、とただ小説を楽しむだけではなく、色々なことを考えさせられる作品です。

 

 

 

 

プルミン  海月ルイ

読んでほしい度  ☆☆☆☆    読みやすさ☆☆☆☆

 

これは私が読んだ海月ルイさんの最初の作品です。

女性目線の作風に惚れ、他作品も読破しました。

 

 

プルミンとは、プルミンレディなるものが販売している乳酸菌飲料

現実世界の我が家に毎週やってくるあの人たちから発想を得たのかな。

ある日、謎のプルミンおばちゃんからもらったプルミンを飲んだ小学1年生の雅彦が、母の目前で血を吐きながら死んでしまうことから事件が始まる。

雅彦だけが狙われたの?それとも無差別殺人?

いじめっ子で乱暴者の雅彦にはわかりやすく敵が多い。

雅彦の母親も、これぞろくでもない子供の母!って感じの人。

いじめられてた子供の親が犯人なのでしょうよ、と思いこませる作戦にまんまとひっかかりながら読み進めるが、そんなに簡単な物語ではなかった。

登場人物は金持ちで上品なお母さん、夜のお仕事の訳あり母さんなど、一人一人の人物設定が期待どうりで面白い。

終盤では主人公の追い込まれていく感に盛り上がる。

危ないからやめときなよ、あなたただの主婦で探偵じゃないんだからと思いながら、

最後の場面、そこに隠れてるなんてことあるの~ってなります。